認知症と物忘れの違い
物忘れ=認知症ではない
アルツハイマー病のように物忘れから始まる認知症がありますが、物忘れ=認知症ではありません。認知症とは「認知機能」の低下によって生活障害を起こした状態を指します。この「認知機能」の1つとして記憶があり、記憶力の低下が一般には物忘れとされています。
3種類の記憶
記憶は大きく、エピソード記憶、意味記憶、手続き記憶の3つに分かれ、その機能は脳のそれぞれの部位がつかさどっています。
認知症の原因の多くを占めるアルツハイマー病では、まずエピソード記憶の障害がみられます。
初めのうちは過去の記憶や判断力、計画性などが残っているので日常生活は自立していることが多く、 「軽度認知障害」と呼ばれる段階です。
この段階で、MRIを用いて脳の状態をみると、単なる物忘れか認知症の初期かの判断や、認知症であれば進行状態の手がかりが得られます。
記憶の分類
早めに受診しましょう
一方、抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬(睡眠薬)などで認知症に似た状態が引き起こされる場合があり、服用薬の定期的なチエックも大切です。「最近の記憶が曖昧、直前の記憶を保てない、記憶が5分ともたない」などと身近な人が感じたら、患者さんと一緒に是非かかりつけの医師を受診してください。
指導:東北大学加齢医学研究所 教授 荒井 啓行 日本医師会 日医ニュース No.363 より