脳卒中の対策・平林内科・小児科医院

1 脳卒中とは

脳卒中は、急性期脳血管障害の総称で、脳の血管が詰まったり、 破れることで脳に障害が生じる疾患で3種類に分類されます。

■一過性脳虚血発作〔TIA〕(脳血管が詰まりかける)、脳梗塞(脳血管の閉塞)

■脳出血(脳の細い血管が破れる)

■クモ膜下出血(脳の太い血管が破裂する)

脳卒中の症状

脳卒中の症状は、脳の障害部位によって様々ですが、半身麻痺やしびれ、 言語障害、意識障害、激しい頭痛などが前兆なく出現することが特徴です。

このようなはっきりした症状の他に、ふらつき、めまい、一過性症状など判別困難なものまであり、朝方に発症しやすい傾向にあります。脳卒中が生じると脳の機能障害が残りやすく、その後の日常生活が困難になるため、迅速な対応が必要となります。

一過性脳虚血発作〔TIA〕

●片腕の力が「だらん」とぬけた

●目の半分が「すーっ」と見えなくなった

●舌がもつれた、ろれつが回らない

●歩きづらく、片側に倒れそうになった

●顔が歪んで、口元がしびれた

のような症状が数分から数時間出現する場合は、いったん詰まった血管が短期間で再開通する一過性脳虚血発作〔TIA〕の可能性があります。

TIAを放置すると脳梗塞を発症する危険性が高いため、症状がなくなったからといって
安心するのではなく、すぐに専門病院を受診してください。

2 脳梗塞

脳梗塞は、脳卒中の60%以上を占めており、次の3種類に分類されます。

■心原性脳梗塞(心臓にできた血の固まりが流れて、脳の血管を閉塞)

■ラクナ梗塞(脳の細い血管に動脈硬化が起こり、血管を閉塞)

■アテローム血栓性脳梗塞(脳の太い血管の内側にドロドロのコレステロールの固まりができ、そこに血小板という血液内の成分が集まって動脈を閉塞)

① 心原性脳梗塞

心原性脳梗塞は、心房細動という不整脈(脈拍がとんだり、 不規則な状態)が原因で発症することが多く、 高齢化に伴い増加しています。大きな血管が閉塞しやすいので、 重症になることもしばしばあります。

② ラクナ梗塞

ラクナ梗塞は、脳梗塞の中では比較的症状が軽症ですが、高血圧の関与が高いので血圧の注意が必要です。

③ アテローム血栓性脳梗塞

アテローム血栓性脳梗塞は、 脂質異常(コレステロールや中性脂肪が高い)、 高血圧・糖尿病などの生活習慣病が関与しており、 近年増えつつあります。 比較的軽症なものから重症なものまでありますが、 当初軽症であったものが階段状に進行し、重症化することもあります。

3 脳出血

脳出血は、かつては日本人に多かった疾患ですが、現在は脳卒中の20~30%となっています。 日中の活動時に急に頭痛や半身麻痺、意識障害などが生じてしまいます。 減塩や高血圧の管理により減少はしていますが、依然として血圧管理はとても重要です。 脳卒中の中でも重症になることが多い疾患です。 またラクナ梗塞を合併することもしばしばです。

4 クモ膜下出血

クモ膜下出血は、脳の底面にある大きな動脈に動脈瘤という血管の膨らみができ、 これが破れて出血ことで発症します。 脳卒中の10%強を占めており、突発的な激しい頭痛、嘔吐を生じて意識がなくなり、 急死することもあります。

脳卒中の中では最も死亡の危険が高い疾患です。発症には未破裂脳動脈瘤があることが 前提ですが、喫煙・大量飲酒・高血圧などが破裂に関係するため、これらを避けることは大切です。

脳卒中だと思ったら

脳卒中だと思ったら、119番に連絡してください。 救急隊は脳卒中専門の病院に直ちに搬送します。そのうち治るだろうと思って時間が経ってしまうと、早くできる治療もできなくなってしまいます。よく分らない場合は、かかりつけ医または救急病院の医師に相談し、 指示を仰ぐのも良いでしょう。

 

脳卒中の最大の危険因子は高血圧

脳卒中を防ぐために日常でできることは、栄養バランスを考えた腹八分の食事と体調に合わせた運動です。また、肥満に注意して喫煙は禁止し、口腔内を清潔に保つことも大切です。

次に服薬となりますが、脳梗塞の予防に高血圧、糖尿病、脂質異常症(コレステロールなどが多い状態)などの薬をもらっている方は、忘れないように薬を飲むことが大切です。

1 食生活のポイント

生活スタイルを見直し、塩分を控え、栄養バランスのとれた食事を摂り、 適度の運動を心掛けることなどは脳卒中を予防する上で重要です。

質と量のバランスの取れた食事を規則正しく食べる

健康な体を維持し、十分な活動をするためには、必要な食品を適正に摂り、 栄養のバランスよく食べることが必要です。 そのためには、朝、昼、夕食ともに主食、主菜、副菜の揃った食事を心掛け、 落ち着いた気分で楽しく食事をしましょう。

標準体重を維持する

肥り過ぎも、やせ過ぎもよくありません。 適正な体重に近づけるようにしましょう。

ご自身のBMI値を知ろう

ご自身の体重が、太りすぎなのか、標準なのか、逆に痩せすぎてないかを確認しておいたほうが、 生活習慣を考えやすいと思います。下記の□の中にご自分の体型の数値を入力すればBMI数値で およその目安を知ることが出来ます。BMI値とは肥満の基準として広く使われています。 これは病気が一番少ない体重を、統計的に割り出したもので、BMIが22のとき、
最も病気が少ないと言われています。

ご自身の標準体重を知ろう

塩分は控える

塩分の取り過ぎは高血圧など脳卒中の原因となる病気を助長させます。 日本人の1日の塩分摂取量の目標値は男性9グラム、女性7.5グラムですが、 高血圧予防には1日6グラム未満に抑えることがすすめられています。 塩辛い食品を避け、薄味を心掛け、汁物は1日1回までにしましょう。 また、加工品の使用を控え、味付けは香辛料や酢を活用し、 調味料の使い方を工夫するなど減塩に心掛けましょう。

動物性脂肪の摂り過ぎに注意をする

血液中のコレステロールの増加を予防する上で大切です。 牛肉や豚肉、鶏肉などの肉類の脂肪の多い部分は控え、 魚介類や植物性の油を使用するようにしましょう。 コレステロール値が高い場合は牛乳などの乳製品の脂肪を控えましょう。

良質のたんぱく質は十分にとる

脂肪の少ない肉類、魚介類、大豆製品は不足しないよう毎日適量を摂りましょう。 コレステロール値が高い場合は、卵などコレステロール含量の多い食品は控えましょう。

野菜、海藻、こんにゃく類などは十分に、果物は1日1個とる

これらの食品には、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれます。 野菜は1日350グラム以上積極的に献立に組み入れましょう。 食物繊維は便通を整える働きがあり、またコレステロールの吸収を抑える効果もあります。抗酸化作用のあるビタミンAとCはコレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化を進めにくくします。 新鮮なものを毎日十分摂るように努めましょう。

アルコールは適量にする

深酒は厳禁、適量を守って程々にします。酒のさかなは塩辛いものを避け、 脂肪の少ない肉や魚そして豆腐や野菜などをバランスよく取り合わせましょう。

●日本酒 1合(180ml)

●ウイスキー・ブランデー ダブル1杯(60ml)

●焼酎 ぐい呑み1杯(70ml)

●ビール 中ビン1本(500ml)

●ワイン グラス1.5〜2杯(200ml)

お酒の適量(厚生労働省脳卒中予防HPより)

適度に水分をとる

水分を十分取らないで脱水になると血液が濃縮され、固まりやすくなります。 起床時、入浴時などコップ一杯の水を飲みましょう。 特に夏場は汗をかくのでいつもより多くの水分を摂りましょう。

2 予防のための治療法

① 内科的予防治療

脳梗塞は高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病や不整脈(心房細動など)、 喫煙、大量飲酒といった動脈硬化を強める病気(危険因子)が深く関わり、 これらが多くなるほど脳梗塞の危険性が高まります。 動脈硬化は全身にも影響し、心臓や腎臓の病気、下肢動脈の閉塞などに発展することもあります。 従って、生活習慣病の各段階から治療が重要です。
脳卒中はある程度予防が可能な病気であり、日本脳卒中協会から 脳卒中予防十か条が提唱されています。

❶手始めに高血圧から治しましょう

❷糖尿病 放っておいたら悔い残る

❸不整脈 見つかり次第すぐ治療

❹予防には タバコを止める意思を持て

❺アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒

❻高すぎるコレステロールも見逃すな

❼お食事の 塩分・脂肪控えめに

❽体力に合った運動続けよう

❾万病の引き金になる太りすぎ

❿脳卒中 起きたらすぐに病院へ

日頃からこの十か条を心掛け、脳卒中予防に努めましょう。 脳梗塞の直接的な再発予防には、危険因子の管理とともに、 抗血栓薬(血液をさらさらにする薬)を使用します。 そのうち、アテローム血栓性梗塞やラクナ梗塞では抗血小板薬を、心原性脳塞栓では抗凝固薬という薬を用います。脳出血の再発予防には、飲酒を控え高血圧の厳格な管理が重要です。
脳や頚部の動脈が狭窄(狭い)していれば、CTAやMRI・MRA・頚部エコーなどにて,狭窄部位が進行していないか評価を受けることも大切です。未破裂脳動脈瘤も、経過観察の場合は同様に定期的検査となります。これらの評価は脳神経外科医または脳神経内科医のいる病院で行っています。

3 体験者からのアドバイス

脳卒中の再発予防として留意していることは、

一に食事の管理。塩辛いものはとにかく控えること。

二に医師からの処方の遵守。※ 処方された薬は、忘れないように服用するよう食卓の最も目立つ位置に配備すること。

三に適度の運動。障害があるのでウオーキングなどではなく、億劫がらずこまめに動き回ること。

予防第一ですが、万一発症するようなことがあっても、予備知識を持ってあらかじめ行動手順を確認しておくことなども重要です。

脳卒中の道しるべ(県立広島病院発行)より引用